「扶養内で家庭と両立して働きたい」
「子育てが落ち着いたから扶養内で仕事を始めてみようかな」
など、扶養内で働きたいと考えている方はたくさんいると思います。
今回は、「扶養内」で働くうえで知っておきたいことについて、ご説明いたします。
『扶養内で働く』とは?
そもそも、一般的によく言われている『扶養内で働く』というのは、「扶養控除が受けられる範囲の中で働く」という意味になりますが、実は扶養は2つに分類されます。
1)扶養控除(税法上の扶養)
旦那さんの扶養に入っている場合、旦那さんが支払う税金が減額される可能性がある(この事を所得控除といいます)
2)社会保険への加入(社会保険上の扶養)
ご自身で保険料を支払わずに社会保険に加入する事ができます。(お子さんがいらっしゃる場合は、お子さんも加入する事が可能)
『税制上の扶養』とは?
「税法」とは「所得税法」の事をいいます。税法上の扶養は「税法上の扶養親族」と呼ばれます。
「扶養親族」は扶養対象者で生計を一にしていること、扶養される方の給与収入が少額であることという条件を満たす親族が対象となります。
「扶養親族(養っている親族)」と認められると、所得税や住民税の負担が軽減されます。
『社会保険上の扶養』とは?
社会保険とは、健康保険と厚生年金保険の総称です。
社会保険上の扶養は「健康保険の被扶養者」と呼ばれ、自分で健康保険料や年金保険料を支払うことなく健康保険と国民年金に加入することができます。
年収の壁
扶養の話をする際に「○○万円の壁が…」とよく聞きませんか?
年収の壁とはどのようなものがあるのか確認していきましょう。
【年収103万円の壁】
自身の所得税がかからずに済む年収。
扶養者の住民税と所得税の負担額には影響しません。
【年収106万円の壁】
規模の大きい会社で特定の条件を満たす働き方をしていた場合、社会保険上の扶養から外れます。
以下の条件を満たす場合、パートであっても勤め先で
厚生年金・健康保険・介護保険の社会保険に加入する必要があります。
◆社会保険の加入条件
・従業員が501人以上
・1カ月あたりの所定内賃金が88,000円以上
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・学生ではないこと
【年収130万円の壁】
年収130万円を超えると、扶養者の社会保険の被保険者から外れます。
パートであっても勤務先の会社で社会保険に加入し、自ら保険料の支払いを求められます。
年金も、自ら国民年金保険料を支払うか、パート先の厚生年金への加入をすることになります。
【年収150万円の壁】
配偶者がいる人への税制上の扶養控除には、配偶者控除と配偶者特別控除があります。
年収150万円までは、配偶者特別控除の恩恵を受けて最大38万円の控除を受けることができますが、年収150万円を超えると配偶者特別控除額が減少し、その分税負担が増加します。
配偶者控除・配偶者特別控除には、夫の年収にも上限があり、1220万円を超えると控除対象外となります。
扶養内で働くメリット・デメリット
〇メリット〇
・配偶者の税負担が抑えられ、手取りが増える
税法上の扶養内で働けば、扶養者である配偶者は配偶者控除(または配偶者特別控除)が受けられます。
パートの給与収入が103万円未満なら配偶者控除が受けられ、控除額は38万円です。
103万円を超えても150万円までなら、配偶者特別控除によって満額38万円の控除が受けられ、
世帯としての手取りが増える場合もあります。
・保険料を納めることなく国民年金がもらえる
パートの給与収入が130万円未満で厚生年金に加入している配偶者に扶養されていてれば国民年金の第3号被保険者となり、年金保険料の納付義務がありません。
第3号被保険者である期間は、実際には保険料を払わなくても納付したと見なされ、将来国民年金を受け取ることができます。
・医療費が3割負担になる
年金と同様に、配偶者の勤務先の健康保険で扶養に入ることができます。
配偶者の勤務先から保険証が発行され、自分自身で健康保険料を払わなくても、3割負担の医療費で医療機関を受診できるようになります。
×デメリット×
・将来的に受け取れる年金が少なくなる
扶養に入った配偶者は、自身の年金を支払わなくても年金を受けとることができます。
この方法で受給を受けられる年金は国民年金だけとなるため、その金額は非常に少なくなります。
扶養に入り続けた場合は、正社員として働いていた場合よりも老後にもらえる年金が少なくなります。
・働き方が制限される
時給や勤務時間などに制限があるため、年収や雇用形態に制限を受けます。
求人の選択肢が狭くなる可能性があります。
最後に…
扶養内で働くかどうかは、今後の人生、家族とどう過ごしていくか、老後どのような生活をするのか、をご家族でどう考えているのかを話し合い、働き方を考えてみると良いでしょう。
[2023年3月14日]